司馬遼太郎の小説

20代の頃に司馬遼太郎の作品に触れて、それこそ毎日毎晩むさぼるように読んでいた時期があって、あっというまに全作品を読み尽くしました。それに並行して他の作家の歴史小説(半ノンフィクション)も多数読んでいたので、あの時期は完全に歴史小説オタクでした。

ふと昨日、NHKの街道行く(奈良)の再放送をちらちらみていたのですが、それだけであの時期のことを思い出しました。
歴史小説の大半はノンフィクションのようなフィクションという、不思議な世界なので、それを評価どうこうというのは恐らくナンセンスなのですが、司馬遼太郎の史実の点と点を結びながら導き出した、世界の中の日本とは、とか、人間とは、日本人とは、一種の哲学のような考え方が実際の人物を通して語られており、それらはたぶん今でも自分の根底に流れています。

この奈良の街道をゆくで語られていた、文化と文明、文化とは何か、ということもそうですし、戦国の史実のなかで、裏切り者は結局大成できていない、とか、幕末の中の、命の重みとか。
すごい極論でいうと、これらを読破してる人間は恐らく信用して共に歩ける、と。